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1. |
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物語の続きは次にとっておくね
棚の奥底で眠る 小さな世界よ
過ぎ去ってゆくこちらの時間
何処へも行かないでいてね 小さな世界よ
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2. |
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私はいるよ 此処にいるよ
あなたには見えるでしょう
舌を噛み千切ってしまったのでしょう
あなたの代わりに歌ってあげる
雨雲に呑まれたご主人様
此の人でなし同士の私に
あなたが授かった人の形と
ことばを預けてください
私はいるよ 此処にいるよ
あなたには見えるでしょう
舌を噛み千切ってしまったのでしょう
あなたの代わりに歌ってあげる
悲しい想いを並べていても
嫌いと叫んでも 全部
あなたがその心で作り出したものでしょう
私が歌ってあげる
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3. |
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随に谷間に実に理にかなったり
海砂利ミリタリー実にまた然なり
色彩良き四肢凛々しき爪先
雷鳴響く稲光 傀儡
視界は翻々偉大な縞縞
ギガ自我肥大だ 仕舞いました今
すべてがむしゃくしゃな感覚が ほら
また我が世界は今を生き抜いていた
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4. |
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引違戸 鍵のない間
透明に近い黒
呼吸 鼓動 どこぞの笙
遠くへ往く
子宮の様 死後の相
見間違わぬ程
固い奥底 ヒヤリと藻
息はある
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5. |
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重ねたもの戻らないんだと
このことはもう無しにしよう
過ちだったんだと 間違いだったと
君に認めてほしくて
つい手が出たんだ
溢れてゆく血を
止められる言葉も言えない
ねえもう一度
あの日感じた温度を
思い出してくれるのなら
まだ諦めなくていいのかな
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6. |
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繋がれた線
紡がれた時
罪のない者
穢れた心の起動音
誰かは見ているだろう
檻の中にいたとしても
この世界の外から
君に続く窓に気づいて
形の無い老若男女
善悪の内容不毛
崇拝数倍皆競争
平等に一つの人々の数
遠くの囀りに
寒気を感じなくなったのか
隠れもしない少年少女
左右の論調玉手箱
宙大渋滞小往生
その窓はもう繋げる何もかも
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7. |
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街灯と茜色が照らす
最近覚えた道
今、空に流れた光は
この先でまた出会える気がする
穏やかな日々が詰まるだろう
毎日の終着点は
こんなにも甲斐も頼りもない人間を
待ってくれる人間がいる
眩しいな星は
キラキラ、開いた扉
「おかえり」
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8. |
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ある嵐の日この一本道
誰もが先へ急ぐ同じ方向に
君一人ぼんやりそこに突っ立って
丸い瞳で今どこを見ているの
体中痣だらけで
それでもその目は真っ直ぐ後ろに向いてた
何度も嗤われ続けていたんだ
醜いあひるは鎖につながれた
ある嵐の日に置いてけぼりのまま
誰もいない部屋静かに項垂れた
多分、夢なんだ
今、扉の音が
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9. |
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描くこともないし
すごいことも思いつけない
生活に支障ないし
願うことはもう今更だし
退屈じゃないし
不便に思うことも特にはないし
寂しがり屋が出ただけなんだ
正解は無いし
言い訳くらいは許してほしい
犯罪はしないように
溜まったものを音符に流して
散々萎れた後に笑えてしまうのはなんだ
彼が描いたものに「価値」なんていなくて
そのままじゃ誰も見つけてくれるはずもない
いつしかどこか遠い場所で点き始めた火に
少しずつ風を吹いてあげるような真似事なんだろう
靡く風に乗せた 君が嫌いな匂いが
そのままに届いていますようにと
不器用に笑った
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10. |
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何もない時 いつも思い出す
単純で明快な 確かに起きた事を
掌の中 皴になるほど
ギュッと握って突き出した後
崩れて落ちた
明日からは他愛無い話も
出来ないんだろうなあ
一体これまで我慢していたのは
君の方?僕の方?
今更こんな事どうでもいいけど
採点してよ 嫌いになるほど
正直で率直な 今までのありったけを
掃除はしない 「ありがとう」なんて
いつ言ったろう?
まずまずの平均点狙いも
見込めないところ
落第だった どうしても
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11. |
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眠らないまま
迎えた朝の歯痒さ
服 着替えた
新しいパンツと昨日の僕
祝日気分が
長引いていただけだから
籠の中 ビニルの傘
ドア開けたら
予報通りの空
足が重いな
たまらないな
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12. |
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カーテンを今
少し開けたら
まばゆい明日
見えた
翼が生えていたら
まばたきひとつ
熟せない人
深呼吸して
こころのそばに
ほら 減った 熔けた
僕らが出来ることごと
あなたにしか分からないこと
全部 消えてしまった
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13. |
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お揃いのマフラーに染み付いた匂いと
目に映るオレンジの暖かな色
見つめあうお互いの瞳が潤んだ時
一日が過ぎてしまったことに気が付いたんだ
そうかあなたじゃなかったのなら
今また一人でいたんだな
寂しさは無かったけど
その優しい瞳が見れなかったんだろうな
いつの日か読み込んだ入門書を手にして
駆け寄ってくる人のいつもの笑顔
透き通った湖の写真を指差して
私の方まっすぐ見てくるの
笑っちゃうな
避けてたことがいつの間にか
日常の中へ溶け込んでゆく
想定外だな 明日はどうなっているかな
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released October 28, 2018